藝道日記。(平成 12/01/13)
平成十二年一月十三日(木)。


 この度私は、日本から船便で三年か四年ほど前に送った、実に重量160キロを超える書籍を預かって貰っている友人兼この国での身元保証人が経営している工場から、離れること直線距離16メートル以内の素敵なロケーションにアパートメントを借りました。だって仕事するのに便利なんだもん。すぐ本取りに行けるし。

 それを例によってその、千葉県習志野市大久保にある某大学某学部某学科時代から実に十年来の友人である保証人に事後報告したのですが、彼はかなりお怒りのようです。

 ええ、実にお怒りなのです。お怒りの理由は、このあたりは工場労働者が多く、治安が悪い、というものなのですが、去年の六月まで住んでいたバンコク市内ディンデーン地区もかなり工場労働者の多い場所でした。
 


 さらにディンデーンより前、最初に借りたアパートなんか、大家が家賃の請求書渡し忘れたくせに、家賃未払いだと主張して、何の勧告もなく外から南京錠かけて入れなくしやがったから鍵壊して入ったら、腰にピストル差したヤクザが、俺はヤクザだ今すぐ出てけ、と、ヤクザ、の部分だけ日本語で言って追い出されたというお茶目なとこでした。

 で、一昨年四ヶ月以上プロの工場労働者として賃金労働していた私としては、工場労働者が多いから治安が悪い、という彼の理屈に今ひとつ賛同しかねるため、一昨日の夜入居初日から同じフロアの夫婦が、派手にガラスの割れる音が響き渡るほどの夫婦喧嘩を繰り広げるこのアパートメントで様子を見ながら藝道修業に打ちこんでみようと思っている今日のあたしって感じです。何も起こらなきゃいいけど。
 


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