入国管理局に行き、前の写真屋でさくっとコピーをと写真を撮り、窓口に行くと、二階の事務所に行けと言われる。私はこれまで二階の事務所にはビザの再延長の時にしか行ったことがない。今から思い起こしてみても通常の延長手続きとは明らかに違う、しかし、その時の私はまだ事態の重要さに気づいてはいなかった。
事務所に行ってパスポートを出すと、係官のおじさまに、三日分、六〇〇バーツ、と言われてそこで私は初めて事態の深刻さに気づく。おじさまの指がパスポートの2月21、と言う数字を指し示している。その指を見つめながら私の頭はなんとかそれらしきスピードで回り始めて、自分がビザの有効期間六十日を二ヶ月と取り違えていたことに気づいた。
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一瞬、目の前が真っ暗になるが、おじさまは、早くこの頁のコピーも取って金もってこい、というような意味のタイ語をもう少し丁寧な言い回しで口にするだけだった。じゃあ、このダブルのビザ、もう二ヶ月分はどうなるの? 素早く我を取り戻して私はおじさまに聞く。
使えないよ、21日でこのビザもう終わっちゃってんだから、おじさまはこともなげにそうおっしゃり、私はおじさんの圧力に気圧されたまま、すごすごとコピーを取りに入国管理局の建物を出てそのついでに滞在延長費と不法滞在の罰金をATMで引き出した。両方合わせて1000バーツほどだ。
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