選評 
(福岡文化連盟機関誌 文化 第136号より抜粋)
 平成12年度の第31回九州芸術祭文学賞(文化庁後援、財団法人九州文化協会と九州各県、福岡、北九州両政令市、両市教育委員会の主催)の地区優秀作と次席各十編が決まった。
 最終選考会は来年1月25日、東京で開き、最優秀作を選ぶ。最優秀作は「文學界」(文藝春秋社)四月号に転載される。

以下長崎県地区から抜粋

長崎県
小林松太郎

 次席「仄かな言葉」については、目が見えず、さらに耳も聞こえなくなった少女が、皮膚感覚と嗅覚だけで外界を認識する。無音の世界の冷え冷えとした疎外感。始めての性交の痛みで聴覚が戻り、二人の心音を二重奏のやうに聞く結末も厭味がない。
 初経の衝撃に聴覚が消え破瓜で甦る構図は少々出来すぎた。惣じてやや理に落ちた嫌ひがある。
 無意味な行あけが多い。浪曲の詞章めいた七五調の梗概がふざけてゐて頂けない。
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