『仄かな言葉』梗概


白石昇             
 
 彼女は触れる彼女の股間。指先に絡んで纏う初潮の血。股間から血が流れ出す十五歳。今まで一度も誰からも、訊いたことない初潮の理。初潮の衝撃強すぎて、健全だった聴覚が、全く機能しなくなる。
  元はと言えば昔から、聴覚だけにとどまらず、既に視覚も不自由で、多少混乱したけれど、彼女はやがて受け入れて、落胆するのはお母さん。必要以上に気を使う。
 転校決まる聾学校、一人で通うようになる。電車に乗って鶴橋へ、おばさんの手によるお弁当、受け取り一人で学校へ。心配なのかお母さん、最初はつけてきたけれど、やがて尾行もなくなった。
  手話を教わる聾学校。新たな友と新たな手段。友に連れられ公園に、溢れる光、心地よい風。やがて友達転校し、一人で公園通いだす。
 一人で過ごす公園の、一人の場所に慣れつつも、やがてひとりの少年と、出逢ってすぐに恋に落ち、母に知られて少年を、言われるままに自宅へと、言われたように導いて、母に会わせることになる。

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