よいこの読書日記−平成11年04月
読んだ本
04月13日 青春                                           伊藤整           角川文庫
04月14日 寝台特急はやぶさの女            西村京太郎     角川文庫
04月14日 夏の終わる日                               仁木悦子         角川文庫
04月15日 一宇宙人の見た太平洋戦争             小松左京         集英社文庫
04月15日 晴れ、ときどき殺人                         赤川次郎        角川文庫
今月の順位


04月13日 青春                                           伊藤整           角川文庫
 伊藤整が初めて書いた長編作品らしい。個人的にはあまりおもしろくない、が、その後の『氾濫』、『若い詩人の肖像』、の後に書かれたかと思うと、興味深く読むことが出来た。
 もしかしたら、こんな風に作品とは単品で評価するものではなく、製作する側の履歴で評価してもいいのかもしれない。ちあきなおみのものまねだけでコロッケの藝を評価しては行けないのと同じなのだろう。
 そう言った意味を含めてこの作品は挑戦者サイドの公開スパーリングを王座交代した後に改めてビデオで見たような気分になった。
04月14日 寝台特急はやぶさの女            西村京太郎     角川文庫
 これが西村京太郎の作品で、この作品を作った西村京太郎がこの先ずっと西村京太郎的ペースで西村京太郎なのだとしたら、西村京太郎であり続けることは大変なのだろうなと思った。
04月14日 夏の終わる日                               仁木悦子         角川文庫
  読んでいる最中にこの本の中身はきっと私の頭では何週間かしたらきれいさっぱり忘れてしまうのだろうな、と思いつつも読み続けてしまうのが優れたミステリーなのだと思うが、この作品集はその、やがて来る忘却に対する思いを強く感じ続けてしまい、読んでて虚しくなったが、その虚しささえも何週間か経ってしまったいまではすっかり忘れている。
04月15日 一宇宙人の見た太平洋戦争             小松左京         集英社文庫
 初期日本SF時代の短編集らしい。何もSFだけに限らず戦後何十年間かは日本の視覚的言語藝は今よりももっとまっとうな評価をされていたのだと思う。第一に客である読者を満足させなければならないために、かなりやさしい作品集にはなっているが、それでも、いろいろと知恵を絞って新しいことをやろうとした軌跡が十分感じられた。新しいことを始めるのはとても大変なのだと思うが、できれば今でもやって欲しいものだと思う。なんとなく、今の小松左京が製作した今の作品というものを読んでみたくなった。
04月15日 晴れ、ときどき殺人                         赤川次郎        角川文庫
 赤川次郎というのはとても凄い人だと思う。ミステリーだから一応読みながらわくわくしてはいるのだが、それでも、この先、絶対に裏切られたりはしないだろうと言う確信を感じながら読むことが出来る。
 その、裏切らない、という感覚は、赤川次郎らしさとして期待しているものについてではなく、ただ、今目の前にある本が絶対にまとまっていないことはない、という確信に基づいているのだが、それでも決して読むことをやめようとは思わない。
 しかし、一番凄いのは読むたびに同じ確信や感覚を確実に与えてくれると言うことである。私は今まで赤川次郎に裏切られたことは、ない。
平成11年04月の順位
一等賞
04月13日 青春                                           伊藤整           角川文庫
弐等賞
04月15日 晴れ、ときどき殺人                         赤川次郎        角川文庫
次点 
04月15日 一宇宙人の見た太平洋戦争             小松左京         集英社文庫
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