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平成十一年四月十八日
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注)ハードディスクがクラッシュしたので、この日の画像データもありません。
エカマイの東バスターミナルに着く。隣のスキンヘッドに時間を聞くと、午前五時頃らしい。三人とも真っ先にバスから降りて体を動かす。まだ空は薄暗い。スキンヘッドと純愛買春青年は体が大きいせいかあまり眠れなかったらしく、何時間も小さく折り畳まれていた身体をほぐそうと鈍い動きながらそれなりに身体を動かし続けている。
とりあえずカオサンに行きます、と言って青年がタクシーに乗り、その後、じゃあシーユー、と言ってスキンヘッドがタクシーに乗ってしまうと一人になる。そして自分のポケットに九バーツしかバーツの現金がないことに気づく。バスを乗り継いでも一回乗り継いだらアウトだ。 とりあえずターミナルを出てバス停で目の前を通り過ぎてゆくバスの行く先を読んで見るが、どうしても一回の乗り継ぎだけでアパートメントまで帰れるようなバスは来ない。しばらく待ったのちバスでもどることはあきらめ、ヤクルト六バーツを買い、タクシーを停めて三米ドルで行ってくれるよう交渉を始める。 四台目に停めた運転手は、少し考えた後三ドルで行くことを引き受けた。あたりはまだ暗かった。ぐっすり眠ったつもりが、タクシーが走り始めた途端に眠くなる。眠気に抗おうとせず、私はそのまま目を閉じた。 着いたよ、と運転手に声をかけられ、まだ靄のかかった頭で自分の降りるべき場所を認識し、運転手に告げる。車が泊まると私はポケットから一ドル札を三枚出して、運転手に渡す。運転手はほんの少しだけ珍しそうにそのドル紙幣を見つめていたが、やがて私に軽く笑顔を返した。 ドアを閉め走り去るタクシーに背を向けて歩き出すと、目の前にアパートメントの姿が入ってきた。建物はいつもより大きく感じられた。次第に近づいてくるクリーム色の壁を見ながら私はその時はじめてあたりがすっかり明るくなっていることに気づいた。 〈了〉 |
この日使ったお金、約三六三円。
旅の総予算。
平成11/04/09 1133円。
約9595円。 平成12年1月28日白石昇事務所調べ。 |
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