二人は満腹になったようなので私はビールを飲みながら誰も食わなくなった残りの料理を黙々と片付けつつ、興味津々の二人に管理者の愚痴を通訳する。胃壁が伸ばされてゆき胃にものすごい量の血が集まりはじめ頭がうまく働かない。そのうち管理者の携帯にその別れた女から電話がある。しかしすぐに話は終わったようだった。
電話が終わって溜息をつきながら管理者が、日本語で、どうして嘘を付くのですか? と言うのはどういうんだ? と私に訊く。私は血流不足の回らない頭のままその日本語を紙に泰文字で、どうしてうそをつくのですか、と書いて渡す。
それを書いて渡すと、こともあろうに管理者はその場ですぐその捨てられた日本人の女に携帯で電話をかけ、たどたどしい発音のまま、どうしてうそをつくのですか、と、何度も繰り返して言うが、発音の訓練が完全ではなかったせいか、全然通じていないようだった。
|
 |
私はその痛く重苦しいテーブルの雰囲気と、胃に集中した血液のせいで頭がまとまらずどうしていいかわからなかったので、とりあえずお勘定のために店の人を呼び、この場を切り上げることにする。お勘定はひろみきん様が全部払っていただいた。とても有り難いことである。どうもごちそうさまでした。
ひろみきん様が宿泊するホテル迄二人を送って行くと、ひろみきん様に、お湯のお風呂なんかしばらく浸かってないでしょう、と言われる。その通りである。お湯どころかうちにはバスタブさえない。良かったら入っていって、と言う天使のようなお言葉に甘え、バスタブとお湯を使わせていただくことになるが、相変わらず胃が重くて苦しい。苦しいのでゆっくりバスタブに浸かる。
結局浴び終わったのは二十二時過ぎ。ビールまでご馳走になってホテルをあとにする。ホテルからエアコンバス二台を乗り継いで地元へ。午前零時を過ぎていたが、今日もチャリは盗まれてなく、ちゃんと川そばで私を待っていた。部屋に戻ってメール書く。書き終わって送信。寝る。
|