通訳の仕事に行く直前に椰子畑に潜入して取り、それをミニマートのおばちゃんに預けたまま忘れてたんです。
ちょうど二軒先の工場から茉莉香米が届けられたという電話がミニマートからあったので、階下に降りてそのついでにおばちゃんに、預けてた包丁頂戴、と言ったのです。
おばちゃんはああそうね、と私に包丁を渡しながら、あんたこれ危ないから気いつけんのよすごく切れんだから、とおっしゃいます。良く刃先を見るとグラインダーで研いだあとがあります。
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(泰語圏公式藝名)がこんなに切れない包丁使ってて可哀想だから研いでおいたわよ。とおばちゃんは言いました。
私は感動に打ち震えながらおばちゃんが心の中で悪いことを考えていてそれが原因で私が危険な目に遭いこの地で命を落とすことになっても、それはそれで満足して人生を終えることが出来るだろうなと一瞬だけ思ったのでした。
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