藝道日記。(平成 12/10/04)
平成十二年十月四日(水)。

   
 部屋に引きこもってましたほとんど。一度カノムチンというカレー味そうめんみたいな料理を屋台に食いにゆきました。一〇バーツです。追加料金なしでで大盛りにしてくれました。同時にリヤカーアイス屋さんからアイス七バーツを買いました。パンに餅米や賽の目に切ったサツマイモを乗せ、その上にアイスを盛り、練乳とチョコレートをかけるやつです。美味しいです。

 カノムチン屋台は二軒先の工場の前にあるので、当然のように令息に見つかりました。令息はあらためて私に通訳の礼を言います。そういえば最近、浴衣を着てウロウロしている怪しい外人の私に対して、その工場で働く人たちのあしらいが暖かくなっているような気がします。地元社会に貢献すると言うことは嬉しいことなのです。私はつくづく見積の通訳引き受けて良かったと思いました茉莉香米も貰えたし。
   


 そのほかには飴を買いに一階のミニマートに降りたくらいなのですが、じゅん太様がお客様ご相談窓口に余計なことを書き込んでわたくしを軽いマインドコントロール状態に陥れたため、とあるブランドのシャンプー十七バーツも購入してしまいました。

 それでですね。飴、という単語がわたくしのデータに入ってなかったのでミニマートのおば様に聞いたのですよ。するとおば様はホールズとかメントスとか、商品名をお答えなさるわけです。説明が悪いせいで良く通じてないのですね私の泰語が。

 しようがなく私は、いや商品名ではなくそのものとして概念的な単語を教えて下さい、と言う意思を表明するために、ミニマート店内にあるラーメンや石鹸を指さして自分の質問が意図するところをフィジカルに説明せねばならなかったのです。
  


   
 気がつくと店の前を通る人たちが怪訝そうに私を見ております。私は幽体離脱して客観的に今の自分を俯瞰してみたのですが、よくよく考えてみれば今の私はどう見ても浴衣を着てミニマートの店内で踊っている不思議な外人でしかないのでした。
   

 

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