チェンラーイ行きのバスに乗ると来るときと同じメンツがいました。一人は欧米系のにーちゃん、あとは泰国籍のお姉ちゃん二人です。ふと我に返るとわたくしは読みかけの本を鞄の上に落としたまま眠っておりました。
そして目の前には国境警察。わたくしは寝ぼけたまま赤い旅券を国境警察にとっとと見せます。しかし、隣のお姉ちゃんは国民身分証明書を見せようとはしません。もしかしたらこの娘は密入国してきた緬国籍なのかという疑念がわたくしの中に撒き起こります。
あんたそがんみせんとやったら、ちょっと降りて署内に来てもらわんばいけんとよ、とちょっと恐い雰囲気で国境警察の人がおっしゃいます。当然長崎弁ではなく泰語で。
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娘は意を決したように財布を出し、その中からあっさり国民身分証明書を出して警察に見せました。すぐに帰ってきた証明書を手にして娘は下を向き呟くように、写りが悪いから見せたくなかったのにぃ、とおっしゃいました。わたくしは理由はわかりませんが、何故か残念だと思ったのです。
終点チェンラーイに着くと当然皆様降りられるのですが、わたくしの横に座っていた欧米系のにーちゃんが立ち上がりました。そしてそのサッカーのユニフォームみたいなシャツには、山形特選米、○○○○(忘れた)、と書いてあります。
わたくしはこの国で安直な日本語ブームを是正し、その書かれてある事の意味を説明し辱め言語的トラウマを刷り込む方針を最近取っておりますので、そのおそらくバンコクで買ったであろうシャツの胸の部分を指さし、やまがたとくせんまい○○○○、と読み上げました。
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