どうやら拳闘言語藝人である先生は言語藝人であるあたくしの力量を試そうとされているようです。あたくしは先生の言葉に自分の世界が浸食されていくのを感じ、キーボードを打つ手が遂に停まってしまいました。それを見極めたかのように先生は書け書け書け書け、はやく書け、とあたくしに命じられます。
あたくしはとりあえず、
(最初に考えねばならないのは最重要項目だ)
と書きました。アルツのあたくしはいつもこの事を自分に言い聞かせておかなければ、自分がやっていることが何なのか良く忘れてしまうのです。
先生はあたくしが書いたその文末に、 (戦う者として)と書き加えられ、
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(戦う者として最初に考えねばならないのは最重要項目だ)
とされました。
そしてあたくしは次に、
(脳は全身に在り)
と書きました。いつもなら、脳は股間に在り、と書くのですが、さすがにそれは風と闘う時に田中良夫(仮名)様の視界に入るものとしてはあまり良くないような気がしたのです。
とりあえずふたつほど書きましたが、あとのひとつは思いつきませんでした。すると先生は、しょうがないな、と言った感じのほほえみを浮かべられ、
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