よいこの読書日記−平成9年12月
読んだ本
12/05 徳川家光(二) 山岡荘八 光文社文庫
12/06 アメリカ居すわり一人旅 郡ようこ 角川文庫
12/11 中国の屏風 サマセット・モーム ちくま文庫
12/11 メイン・テーマ 宮本輝 文春文庫
12/20 オールスパイス21 オールスパイス
12/20 オールスパイス22 オールスパイス
12/28 SS式すぐに話せるタイ語 ブンチュータンティタィタナスントーン UNICOM
12/31 無知の涙 永山則夫 角川文庫
今月の順位
12/05 徳川家光(二) 山岡荘八 光文社文庫
山岡荘八という人は、かなり良く泣く人だったらしい。初対面の人がちゃんと約束通りに来ただけで泣くなど、ただものではない泣きようである。で、そういった山岡荘八は置いといて、平民に世継ぎを産ませるところなど、家光というひとはとてもアナーキーな方だったのだと思う。
12/06 アメリカ居すわり一人旅 郡ようこ 角川文庫
このかたはエッセイストとして著名な方らしいが、今回初めて読んだ。このエッセイを読む限り、エッセイとしてというより、小説というか物語構造的に非常に伝統的なつくりになっていると思った。あと、自分以外のキャラクターに対して罵倒に近い言い回しを用いるが、そこはかとなくそういった表現の中に悪意がない。これもひとつの良く練られた藝だと思った。
12/11 中国の屏風 サマセット・モーム ちくま文庫
悔しかった。私もバンコクの日本人社会を同じような手法で書こうと思っていたからだ。しかしこの方はいささか自嘲的なところはあるが、同国人に対しての悪意がほどよくていい。しかし、同時に中国にいた英国人に比べて、こっちにいる日本人はいささか類型的すぎるきらいがあるのでどう料理するか考えると何となしに気が重くなる私ではあった。
12/11 メイン・テーマ 宮本輝 文春文庫
宮本輝の対談集。マルセ太郎と黒井千次が面白かった。黒井千次さんは日大文芸賞の選考委員で授賞式の時にも会っているのである程度興味が湧き易いのは当然だが、マルセ氏は会ったこともなく、テレビで少し見たことがあるだけなのに凄く面白い人だと思った。どうしてこういう才能のある人が落語や既製のお笑いに行かなかったのかと思うとある種のアナーキストっぽさを感じる。一度ナマでこの人の藝を見てみたいものです。誰が、バンコクに呼んで下さい。
12/20 オールスパイス21 オールスパイス
『はるはるはなは』〈後編〉、『明日見る夢』〈第4回〉、『エールを送ろう』、の3つが良かった。特に『明日見る夢』は可愛い話の途中でいきなりハードボイルドな格闘シーンになるのが新鮮だった。
12/20 オールスパイス22 オールスパイス
『或る存在感』、『名鉄津洲線車中奇談』、『旅行まにあ 琳々・玉緒のぶらり萩の旅』、が良かった。『旅行まにあ 琳々・玉緒のぶらり萩の旅』の太樹玉緒氏は最近、漫画の表現に幅が出て来たような気がして、次が楽しみです。
12/28 SS式すぐに話せるタイ語 ブンチュータンティタィタナスントーン UNICOM
岡山県在住の陶芸家、大友玄さんが置いてってくれた本。タイ文字の例文が一語一語区切ってあってとてもわかりやすいと思いました。いつものようにタイ文を丸写ししましたが、もうすでにかなりのところ忘れてます。でも玄ちゃんありがとう
12/31 無知の涙 永山則夫 角川文庫
ほんとうに困ったひとです。何人もひとを殺しちゃうなんて言語道断です。しかし、本当に何も知らないまま中卒で高度成長期の労働力として東京に集団就職したらしく、その社会に対してや、自分のした犯罪に対しての言辞がすごく研ぎすまされています。言葉に力があります。が、マルクス主義を勉強した後に、自分を正当化しはじめるのはいただけません。マルクス主義なんて、それを振り回しはじめた途端、思想的に自分がブルジョワジーであるという特権意識を抱かせるタチの悪いものでもあるのですから。
平成9年12月の1等賞
12/31 無知の涙 永山則夫 角川文庫
平成9年12月の2等賞
12/11 中国の屏風 サマセット・モーム ちくま文庫
平成9年11月の次点
12/11 メイン・テーマ 宮本輝 文春文庫
11月↑/1月↓
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