よいこの読書日記−平成12年01月
読んだ本
01月07日 戦争論                       小林よしのり  幻冬舎
01月17日 ブッテンブローク家の人びと(中)       トーマス・マン    岩波文庫
01月25日 アニマル・ロジック                山田詠美    新潮文庫
01月30日 青年                         森鴎外     新潮文庫
今月の順位



01月07日 戦争論                       小林よしのり  幻冬舎
 ええ遂に読んでしまいましたよ。避けてたんですけどねはっきり言って仕事の都合上。でもここしばらくは仕事的に大丈夫かと思って、ついにAG様に借りて読んだの。
 思った通りに非常に左的に右な本。理論の展開が凄くこの人上手くなっているんだけど、同時に文字が異様なほど多くなった。こんなに字が多い漫画って他にある? 作者はいわゆる言論を生業とする知識人の方法を忌み嫌って漫画で蹴り込んだのに、その表現方法自体が論壇的になっていくのが凄く気になる。この人がどう吼えようが傲慢が藝なんだから何とも思わないけど、東大一直線やおぼっちゃまくんのインパクトが感じられなくて、ただの論文読んでるような気がしたのが物足りなかった。
01月17日 ブッテンブローク家の人びと(中)       トーマス・マン    岩波文庫
  上巻は登場人物リストまで作りながらちゃんと読んだのに、中巻で一気に集中力がなくなった。
 しかしこれは決してトーマス・マンのせいではない。全3冊の文庫本の2冊目をだらだらと三ヶ月も読んでる俺のせい。
 でもそのおかげで、ストーリーのパターンのみが頭に入ったために、あのテレヴィドラマも、映画も、小説も、全てこのパターンのパクりだと言うことがわかったりして楽しかった。
01月25日 アニマル・ロジック                山田詠美    新潮文庫
 刊行当時はあまり評判が芳しくなかった作品。読んでみてその理由がよくわかった。早い話が、みんな扱い切れてないのね山田詠美の作品を。
 特に日本の批評言語というのは基本的におちんちん前提のマッチョな言語構成になってるから、それでもって山田詠美を扱おうと思うと、結局当たり障りのないことを行って逃げるか、冷ややかに無視するしかないの。
 未だに山田詠美を全否定する本好きの男の子、たまに会うけど、酷い子になると読まずに全否定したりするのね。なんでそこまで、ってくらい徹底的に。読んでたとしても一冊くらい。
 まあ、こんなにたくさんのお客様に15年以上も支持され続けてなおかつ、決定的な批評が出て来ず、マッチョな男の子に全否定されるとこが山田詠美の凄いとこ、って結論にしちゃえ。
 ちなみにあたしの感想だけど、まっとうに力発揮した長編って感じで、この作品いいじゃん、って感じ。
01月30日 青年                         森鴎外     新潮文庫
  スカしてるとろくな藝人にならない、と頑なに信じているため、常日頃からバカを自覚し行動しているわたくしでございますが、どうやらスカさない自分を維持するが故にスカしているのではないか、と最近自分の姿勢に懐疑的になりました。
 しかし、仕事第一で日々を送ってゆけば、スカシバカを皆様に披露することなく、よりよいバカになれるのではないかと最近ようやく物事の道理らしきものに気づいた次第でございます。正直言ってわたくし、この一ヶ月、遊びすぎました。
 で、この作品の青年なんですが、スカしている自分がとても好きなために、ろくな藝人になりそうもありません。鴎外がこの作品を途中でやめたのはこの青年がろくな藝人にならないどころか、ダメ藝人になってもおそらくスカし続けている故、この先全然面白くないことに気づいたからに違いないと私は睨んでおります。

平成12年01月の順位
一等賞
01月25日 アニマル・ロジック                山田詠美    新潮文庫
弐等賞
01月17日 ブッテンブローク家の人びと(中)       トーマス・マン    岩波文庫
次点 
01月30日 青年                         森鴎外     新潮文庫
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