|
06月11日 雨・赤毛 サマセット・モーム 岩波文庫 |
あ、これ三つとも面白い。あのね。ここは俺等の植民地だタイ人なんて下等民族だぜ意識バリバリの日本人が決して少なくないこの国で読むと妙にはまるせいあるけど、ちゃんと三つともオチが付いてる。そしてそのオチがよくはまってる。最近そう言ったオチがちゃんとハマる作品しか製作したくないと思っているので、何かこういうはちゃんとはまってる短いやつ好きなのかもしれません私は。 |
06月12日 遁走 安岡章太郎 角川文庫 |
戦記物であります。読みながら自分は、不覚にもセリーヌの『夜の果ての旅』やヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』などと比較してしまったのですが。日本の軍隊というものは、どうも抗いがたい強い流れの中で物事が動いてゆくようであります。しかし、この作品においてはその流れの中で決してその流れに全権委任せず、内面で主体的に悪態をつく兵隊が書かれているのであります。自分が思うに、この作品の中に出てくる兵隊は誰一人として愛国心などは持ち合わせていないとすら思えたりするのであります。そのあたりが今の日本国と何一つ変わらない気がして面白いのであります。 |
06月14日 ヘミングウェイ短編集(一) ヘミングウェイ 新潮文庫 |
遊びに来た方が持っていたので何故か二冊あったシェイクスピアの『リア王』と交換しました。アルツの私は時折持っている本を購入します。これはもう病気なので治りません。 |
06月18日 くれない 佐多稲子 新潮文庫 |
初めての佐多稲子です。この作品はそして素晴らしくオチがないけど素晴らしい作品です。この作品とてもいやらしいんです。いや別に性行為の描写が微に入り細をうがっていたりしていやらしいんではなくてむしろ逆なのに、すごくいやらしいです。 |
06月21日 悪人への貢物 三好徹 文春文庫 |
いや素晴らしく面白くて数時間で読んでしまったのですが、オチが全くわかりません。その後あの謎はどうなったんだろう、と読んだ後に疑問が頭の中を駆けめぐりますが、別に再び読んでその疑問をはっきりさせようとは思いません。どうでもいいことなんですが、突然消えた内縁の妻の顔が村上麗奈としてイメージされたのはそのストーリーの性格のせいでしょうか? とにかくかなり怪しい気がする細かい設定にツッコミを入れようとも思いませんでした。読んでるときは楽しいもん。でも結局どこ行ったんだ村上麗奈? |
06月22日 黒いスパイ機 福本和也 角川文庫 |
航空ミステリー、とカヴァーの折り返しには書いてありました。とても面白いです。読んでて楽しいです。しかし二日続けて読んで、前日読んだ『悪人への貢物』と内容がすぐに混ざってしまうのはどうしてでしょうか? 私がアルツであるというのが理由の多くではあるのですが、一日に二三冊一気に読んだとしてもそう言うことがないことも多々あるのでこのあたりについてよく考える必要があると思います。今後の課題です。 |
06月23日 宣言 有島武郎 岩波文庫 |
書簡体。途中まで良く頭に入らなかった。おそらく昭和三十年発行の岩波文庫で旧字体のせいもあるでしょう。いつ買ったか忘れましたが、古本です。あ、盛岡市の吉田千恵子さんお元気ですか? あなたが四十九年前に買った本は何の因果か国境を越えて今私の元にあります。売る本には名前を書かないようにしましょう。 |
06月25日 みずうみ 川端康成 角川文庫 |
ロリなんだけどね川端だから。もう決めつけ。でもここまでロリで世界に認められたんだから胸張っていいロリだと思う川端は。決めつけ自己容認。ただこの作品、ロリの傾向がこれまでのロリと違うんで、たぶんジジイになってからの仕事だと思ったらまだ五十六歳の時の作品。 |
平成12年06月の順位 |
一等賞 |
06月18日 くれない 佐多稲子 新潮文庫 |
弐等賞 |
06月23日 宣言 有島武郎 岩波文庫 |
次点 |
06月11日 雨・赤毛 サマセット・モーム 岩波文庫 |
|
![]() |
![]() |
(C) 2000 SHIRAISHI Noboru |