よいこの読書日記−平成12年07月
読んだ本
07月08日 カストロの尼 他二編         スタンダール     岩波文庫
07月13日 存在の耐えられない軽さ       ミラン・クンデラ    集英社文庫
07月13日 食卓の情景               池波正太郎   新潮文庫
07月17日 ザ・詐欺師               別冊宝島編集部 編  宝島社文庫
07月20日 ビラヴド                 トニ・モリスン     集英社文庫
07月20日 エクスプレス タイ語          水野潔・上田玲子 白水社
07月22日 樅ノ木は残った(上)          山本周五郎   新潮文庫
07月28日 ふらんす物語              永井荷風   新潮文庫
07月30日 無印親子物語              群ようこ   角川文庫
07月31日 樅ノ木は残った(下)          山本周五郎   新潮文庫
今月の順位


07月08日 カストロの尼 他二編         スタンダール     岩波文庫
 ええ、どうしてもだめなんですあたし。スタンダール。いやね。だめって言うのは嫌いとかそういう問題じゃなくて、読んでも頭に入らないんです話の流れとかそんなものが。『バルムの僧院』の時もそうだったんですけどね。
 しかしいつまでもそんな風に食ったフリして人参をこっそり吐き出す偏食児童のような事ではいけない、と思い、今回はがんばってみました。その結果、『カストロの尼』は非常に金色夜叉オディプス王的展開の悲しいお話だと言うことがわかりました。しかし、他二編についてはいつものようにあまり頭に入りませんでした。悔しいので頭に入らなかったのはこの本が昭和三十一年発行の、旧字体で印刷してある本だったからだと言うことにしておきます。
 
07月13日 存在の耐えられない軽さ       ミラン・クンデラ    集英社文庫
 面白かったです。いいなあこんなの。いやね、悲しいお話なんですけどね結局。読みにくかったけどまた読みたくなる恋愛小説だと思いました。
07月13日 食卓の情景               池波正太郎   新潮文庫
 このおっちゃんのこの随筆集のせいで、衝動的に湯豆腐を作る羽目になった。なんかむかつくので今後私のお客様が湯豆腐を食いたくなるような作品を作ろうと思った。
07月17日 ザ・詐欺師               別冊宝島編集部 編  宝島社文庫
 ええ財産というのは持っていると大変でそれが全部無くなってしまうならまだしもそれを担保に何かしたりすると無くなるどころか負債さえ背負ってしまう可能性だってある為にそれを狙った人たちからつけねらわれたりするみたいなので私は財産というものを持たないただの藝人で良かったなと胸を撫で下ろしました。
07月20日 ビラヴド                 トニ・モリスン     集英社文庫
 ミステリー仕立てながら、黒人霊歌的な意味合いを持った作品。ええ、そうです。きょうこ様(仮名)に薦められた本で私が持っているのはこれしかなかったのです。一言で説明すれば、ボブ・マーリィの『レデンプション・ソング』を発展させ深めたような内容。しかし、単にアフリカ系の女性が書いたという物珍しさ以上に、構成も方法もよく練られた作品でした。モリスンの他の作品も読んでみたいです。
07月20日 エクスプレス タイ語          水野潔・上田玲子 白水社
 今回七回目。練習問題正解率89%。ええ、もう終わりにしましょうこの参考書は。何度やってもカイとヤマダは俗物だし、私は同じ間違いを何度もするしでもう疲れました。そうそう、これを書いた水野潔様、去年十二月新宿で偶然お会いしました。私にカラオケのマイクを差し向けて下さりびっくりしました。まさかいきなり二人でニッコー()を歌うはめになるとは思いもよりませんでした。きっとこれから私の人生においていい年したオス二人でを歌うことはないでしょう。いい経験させていただき有り難うございました。
07月22日 樅ノ木は残った(上)          山本周五郎   新潮文庫
 おみやにちょっかいを出された新八の性衝動は、結局止められませんでした。まあ、止められるはずはないんですけど若いから。しかし、ここでの性的な駆け引きにおいては男女が見事なほど対等で、俗であって俗ではありません。少なくとも私はそう思いました。
 しかし新八はダメだとわかっていてもやってしまうのですが、ここらの若気の至り的展開は非常に納得がいくもので思わず、まあしょうがないよね若いから、と読みながら思わず呟いてしまいました。
07月28日 ふらんす物語              永井荷風   新潮文庫
 現代の泰国内に限らず日本の駐在員および銀行員と言う人たちは百年前からどうでもいい自負心を大事にして基本的なことがわからない体質なのだと言うことがよくわかった。そう言ったどうでもいい自負心に揉まれて疲れた荷風は遂にアラブの伝統的な生活を肯定し、土耳古は偉い、という認識に至るが、私も土耳古を含めて回教国は偉いと思う。少なくとも日本よりは基本的な土台がしっかりしている。
07月30日 無印親子物語              群ようこ   角川文庫
 読みやすいです。それにいちいちたとえで出てくる人選が秀逸。しかし、十年後に松浪健四郎をわかる人がいるかどうかは疑問です。しかしよくよく読んでこれがバブル後に発行されたものと知り二度びっくりです。なんかそんな風な新しさを感じさせない本でした。
07月31日 樅ノ木は残った(下)          山本周五郎   新潮文庫
 結局、お前が私をこうしたんだ、と色欲に溺れてその怒りをおみやにぶつけた新八はそれから紆余曲折の末、芸人を志し、その新八をこうした張本人でこちらも紆余曲折あったおみやとあっさり元の鞘におさまってしまう。時折挟まれる断章、も併せて話の作り方がとてもフォークナー的な構成のような気がした。というよりフォークナー的構成、と言うのはこうすれば読みやすくなるのかと思った。で、念のため言っておきますが、おみやと新八はの話は長い話のうちのサブルーチンみたいなものです。一応これ、お家騒動がメインの時代小説ですので。

成12年07月の順位
一等賞
07月20日 ビラヴド                 トニ・モリスン     集英社文庫
弐等賞
07月22日 樅ノ木は残った(上)          山本周五郎   新潮文庫
07月31日 樅ノ木は残った(下)          山本周五郎   新潮文庫
次点 
07月13日 存在の耐えられない軽さ       ミラン・クンデラ    集英社文庫
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