藝道日記。(平成 12/03/15)
平成十二年三月十五日
 
 お陰様で風邪引かずにすみました。
きょうこ様(仮名)有り難う。

 


さようならまたね。



 チェンマイに着いたのは七時頃。そのままチェンラーイ行きのバスに乗らなければならない私はきょうこ様(仮名)を初めとする皆様とお別れ。乗り合いトラックを乗り継いでバスターミナルに行くが、ターミナルにはATMがなくお金が下ろせないのでしばらく歩いてATMでお金をおろし、切符を買ってエアコンバスに乗り込む。

 バスに乗り込むと本を読みながらすぐに寝てしまう。バスはいつの間にかチェンラーイに着いていて、とりあえず飯を食う。豚の顔面辛子炒めぶっかけ飯を食い、チェンマイソーセージの玉子炒めぶっかけ飯を、続けて蹴り込む。全部で四〇バーツ。何故そんなに食うのか理由はない。さすがに胃がパンパンになり、そのままメーサイ行きのバスに乗り込む。
 


 正午半頃メーサイに着くとすぐ乗り合いで国境まで行く、いったん向こうの国に入って戻って来なければならない。日本人が二人、ビルマの入管で四〇米ドルを支払っているのをみて、ちょっとどきどきする。どうやら国境ではタイ側の出国スタンプが押して貰えないらしく、管理官にお前いっぺん出国してこいと言われて一キロ離れた入国管理局まで行き出国手続きをする。

 手続きを済ませ乗り合いで国境に向かう途中、書類上どの国にも属していない自分の立場を考えながら、もしこのままバンコクに戻ったり、国外に出たらすればどうなるのだろうと思う。



 緬国にはあっさり入国。二五〇バーツ払う。さっきの日本人が払っていた四〇米ドルはなんだったんだろう、と思いながら一応タチレクの街に入国。ちょっと街をみて中国製のスイカ石鹸を買い。他にこれと言ってすることもしたいこともないのでアイスコーヒーを飲んでから泰に再入国。新しく入国したのでパスポートにはちゃんと一ヶ月分の滞在許可が押される。

 そのまま乗り合いでバスターミナル、友人のブラッキーに会うためにバスターミナルからバスでバンマイへと向かう。バンマイでバスを降り、バイクタクシーでパサンノイへ。パサンノイに着くとヘインズさんの店でビールと氷を買う。ヘインズさんの話によるとブラッキーは今日いるとのことだった。
 


 しかしブラッキーの家に行くと奥さんのオーンさんしかいなかった。ブラッキーは今日ビザの更新のためにメーサイにいっているとのこと、どうやらすれ違いらしい。そのまま大人しく待っているとやがてブラッキーが来る。

 そして驚くことに友人のアメリカ国籍アラスカ人がいた。彼と会うのは私がまだ東京都中央区にある建設会社でOLしていた時以来だから、実に六年ぶりである。彼はこのパサンノイ村に家を持ってはいるがアラスカとタイを往復しているため、いつもそんなに長くここにいることが出来ない。私とはここ何年もずっとすれ違いを繰り返していたのだ。
 




ちゃんと西瓜の匂いがします。
味は知りません。

 
自分が掲載されているネットランナー誌
を見て喜ぶブラッキー。

 


日本の友人にメールを打つ
ブラッキーとオーンさん。


 
 六年前にはなかったストーンズのタトゥー。

 
 

 彼は六年前に煙草と肉食を止めたが、久しぶりに見たら前よりも更に太っていた。彼は朧気な記憶の中から、自分が学んだ日本語を思い出し話そうとする。そのままビールを飲みながら食事になる。菜食は相変わらずだったがとにかくよく食う。

 食事が終わって、アラスカ人のうちに行く。で、そこで何故そんなものがそこにあるのか解らない、清酒「松竹梅」を飲む。アラスカ人は空港で買ったと言う。燗つけて飲ませてくれようとするが、その燗がむちゃくちゃ熱い。
 
 

 



 とりあえずこう言ったことは日本国籍の人間がやるべきだろうと思い、コンロを使って人肌程度に暖める。人肌、と言う概念をアラスカ人とブラッキーに説明して、飲み続けると日本酒独特のあの重い酔いが訪れる。アラスカ人はストーンズをかけてギターを弾き始める。彼はストーンズが凄く好きだ。本当にジャニーズが好きな日本の少女くらいストーンズが凄く好きで、年間何度もライヴに行くらしい。

 そのうち彼は家の奥からのこぎりヴァイオリンを取りだしてきて弾いてみせる。試しにやってみるがなかなかいい音が出ない。そのうち掌が痛くなる。松竹梅は飲み出すときりがなく、かなり酔っぱらったのでブラッキーの家に戻って寝る。

平成十二年三月十四日に戻る。平成十二年三月十六日に続く。
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