藝道日記。(平成 12/06/18)
平成十二年六月十八日(日)。


 結局はまだ戻ってきていないようで、そのまま横になっていると電話がかかってきた。しかし眠いので電話で起こして欲しいと頼み、横になって読書してながら眠る。

 午前三時、電話で起こされる。そのまま犬と寝ぼけたままお話しし、水浴びに行ってメールサイト製作更新。その後水浴びして顔面の毛を剃る。

 八時、中東から来泰している友人に会うため家を出る。港の食堂で豚顔面肉肉ライムサラダ食う。十六バーツ。今日は二皿食わないのか? とおばさまに聞かれて照れる。そのまま、長い時間ではないからどうかここに停めさせて下さい御願いします、と言ってチャリを停めさせて貰う。
 


 三・五バーツのバスに乗って渡し船二バーツに乗り変え、そこからホテルに電話。あと三十分くらいで歩いてそこまでいけると思うから時間に遅れるかもしれないので、そこのホテルに剃刀があったらくれ、と何の脈絡もないことを伝えて再び歩き出す。

 私は上唇の上の長い毛を一本だけ剃り残しており、それが妙に気になって仕方がなかったからだ。歩きながら、絶対に遅れると思っていたらホテルまでは以外と近く時間前に着く。

 レセプションから部屋に電話し、ロピーのソファで座って読書しながら待つと、何分かで来た。いきなり握手してアラブ式の頬ずり挨拶を挑まれるが長い間そんなことをしてなかったので顔面と顔面がぶつかりそうになる。
 




いつのまにか産まれてた雑貨屋のガキ。
ちっちぇえ。
(当然本文とは無関係。)


| 部屋にあげて貰い、シャワーを浴び終わるまで待つ。浴び終わってこれからどうするか作戦会議。どうやらヤツは服を買いにカオサンに行きたいらしい。私もちょうどテラスゲストハウスにプリンターを預かってもらっていて取りに行かなければならなかったので好都合である。希望を聞いて船着き場からチャオプラヤ川を上っていくことにする。

 途中のデパートで食事。デパートの前で一〇〇バーツ下ろす。カオマンガイと冷やし乳汁ノムイェン奢って貰う。ヤツはセンレックの汁なしを頼むが何か妙に麺にシイユダームが絡みついており、あまり美味くなさそう。服の染料が欲しいと言うことなのでデパート内を探すが無いのでそのまま船着き場へ。
 



 船は全然来ない。二十分以上待つ。向かいには欧米人のカップルがじゃれていて、男の方が女の頭にコンビニのビニール袋を被せている。その行動の意味を二人で協議してみたが、ただ旅行に来て浮かれているだけと結論らしきものが出た頃にようやく船が来て乗り込む、一人六バーツ。友人が出してくれる。

 で、船を下りたのだが、あろう事かひとつ手前の船着き場で降りてしまい、しょうがないので渡し船に乗り換える。乗り換える途中路上の古本屋で、レーニン、と言う題の泰語本があったのでいくらか、と訊くと五十バーツ、と言われる。

 定価は三十五バーツじゃないか、と主張すると、古い本は高い、と納得が行かないいいわけをされたので立ち去ろうとすると三十バーツになったが、食指が動かずそのまま渡し船の船着き場へ向かう。私は今回のレーニンとは縁がなかったようだ。
 


 しかし改めて乗り込んだ渡し船は下流に向かって下り大学をこえた市場の船着き場へ着く。ここからじゃかなり歩かなければならないのでヤツに謝罪しながら船から下りて、さすがに多少お怒りのヤツが、ちょっとなんか飲もう、と言ったので雑貨屋でペプシ、ヤツはオレンジジュースを注文。

 飲み物を飲みながら大学を横切ってひたすら歩き、テラスゲストハウスへ着く。私は預けていたプリンターをゲットしヤツはジャパンレイルパスについてリンダ姉さんに質問。ヤツは相変わらず英語が上手い。

 用事が済んだらヤツの服を探しにカオサンへ行く。なかなかいい色がなく端から端まで歩き、対面側の露天もくまなく攻めている途中、レストランで仕事中のレック様と目が合う。何で髪切ったの? と聞かれたので、切ったんじゃない、剃ったんだ、と答え脇道に入る。
 



 脇道でもいい服は見つからず。再びカオサンに戻り仕事中にもかかわらず店のテーブルに座って映画を見ているレック様に地獄突きをかまして素通りしようとすると、私に喉笛を突かれたレック様が背後から、すけべ、と言う言葉を浴びせる。

 誰が教えたそんなにっぽん語、と思いながら残りの露天と店を見て回り、ようやく一着購入。物色している途中、五年ぶりぐらいに古い知り合いに会う。現在エンポリウム五階で仕事しているとのこと。

 涼しいところで何か飲もうと言うことになりサッパシンカーへ行き、三階食堂でアイス蓮根ドリンク飲み、かき氷を食う。アイス蓮根ドリンク新食感。それぞれ五バーツ。それから二人で階段で下りヤツは下着を物色。私はテナントが入っていず空いたフロアの角でしゃがんで読書。
 


 マネキンがあったので、そのヅラをはがしてまだ少ししか毛が生えてない頭に被り、鏡を見て遊ぶ。店員たちはちらちらとこちらを見ているが別段咎める様子はない。

 ずっと一人でそのまま放置プレイされたままの状態。しょうがないのでずっと本を読んでいると、ああああどっか行ってた? と慌ててヤツが戻ってくる。いやずっとここにいたけど、というと見あんなかったけどなあ、と言われる。

 二人で協議の結果、もしかしたらヅラ被っているときに来たからわからなかったのかもしれない、という結論にして更にフロアを下り、手芸屋で染料を買う。マニュアルが英語のものがなく、口頭で訳してあげるがその途中で染料の底に張り付いている紙に英文が書いてあることが発覚する。

 



 翻訳作業が全くの徒労に終わったと思いながら、ついでなのでボロボロになったデジカメ修理用に使うろうそくと、御裁縫用の白糸をポリエステルと木綿の両方買う。木綿の方が高い。疑問に思ったので売場のお姉さんに聞くと、木綿の方が強いから高いそうだ。

 サッパシンカーを出てヤツと別れることになる。ホテルまで船を使って帰るための、困ったときの泰語カードを作成してそれを渡し、バス停で別れた。一人になってしばらくバスを待っていたが、全然来やしないのでテラスゲストハウスに時間つぶしにゆく。

 座ってリンダ姉さんとお話ししていたら、ジミー金村氏勢作のジミークンバスマップ、が一部売れる。最近のものは見たことがなかったので、リンダ姉さんに言って見せて貰う。情報量が増えててびっくり。充実している。こりゃカオサンに出てきたばかりの旅行者は便利だから買うだろうなあ、と思う。
 


 いきなり左の上顎、奥歯が痛む。どうやらう触が進行しているらしい。来月あたりにはまた歯医者だな、と思う。

 リンダ姉さんが日本語の勉強をはじめたので、何かやってくれと頼まれて了解したときに使う丁寧な言葉として、かしこまりました、を教える。喜んで復唱していたが、やがてリンダ姐さんは、太ったヤツ、はどういうんだっけ? と聞いてきた。私は、デブ、と教えてあげる。

 リンダ姉さんは嬉しそうに、そう、デブ、デブ、デブ、デブ、と笑いながら復唱しはじめる。そんな悪い言葉何に使うのか聞いたら、それには答えずにリンダ姐さんはにこっと笑うだけだった。

 大雨。大雨が降るとテラスゲストハウスの前は水浸しになって動けなくなる。しかも今日はプリンターという精密機械を運ぶという使命があるため、止んで水が引くまで待つ。リンダ姉さんが、使わないから、と言ってタイソフトの泰英英泰電子辞書ソフトを貸してくれる。
 



 バスに乗って戻る。九時過ぎ。チャリに乗って家まで戻る。十時頃横になって読書したら、さくっと眠ってしまう。眠りに落ちてゆきながら、そう言えば昨夜はあまり寝ていないことを思い出す。眠っているのか眠っていないのかわからないまま眠る。
 


平成十二年六月十七日(土)に戻る。
平成十二年六月十九日(月)につづく。 
E-Mail:noboru@geocities.co.jp
(C) 2000 SHIRAISHI Noboru