運転手に入国管理局、と告げると運転手は合点だ、とばかりにデパートの名前を嬉しそうに言う。違うと言ってもう一度説明すると、いや行かない、と言う。なんでだ? と聞くと、好きじゃないから、と言われる。何じゃそりゃ。
違うタクシーで着く。十二分遅れ。犬様見つかる。ごめんなさい三十バーツ以下のお昼ご飯奢りますから許して下さい、と言うと許してくれる。用紙に記入し写真を持って申請すると、この写真じゃダメだから、今撮ってこい、と言われる。どうやら髪型が問題らしい。食い下がるがはねつけられる。どうしても坊主頭じゃなければならないらしい。
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けして納得はいかないが、仏教国らしいと思う。
仕方なくコンビニ前のATMで一〇〇バーツだけ引き出そうとしたら下ろせなかった。しかたなく五〇〇バーツ下ろし、安い白黒写真を撮影。戻って申請。申請しているとどうやら知っているらしい人の姿が視界に入ってきた。
昔いろいろ仕事上でお世話になった人なので挨拶しておこうと思ったが、その人から連絡がなくなった頃から、人づてに私の悪口を流布していると言う噂を聞いた事を思い出した。その噂は私が製作している作品についてのもので、いやらしいものを作っているらしい、と言っているらしかった。藝人として作品を実際にご賞味いただいてそう言われるなら謙虚に受け止めるのだが、何も見ていないのにそう言っているとの話だった。
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