一体いくつの河を越えたらボスに会えるというのだろう? あたくしは、ボヴ・マーリィ・アンド・ザ・ウェイラーズの"Burnin'
and Rootin"を口ずさみながら、ロビンソンオシエンデパートまで歩き、そこでシュークリームを買って食いながらひたすらまた歩く。歌いながら歩いているうちにネットに接続することを忘れ、電話しなければならないことを思い出す。
デパートの前、公衆電話からあたくしはまた、長距離牛乳配達の携帯に電話した。今度は圏外でなく、電源も入っているようだが誰も出なかった。仕方なく歩いて田中良夫(仮名)様宅に戻ることにする。地図に書かれてない道をわざと選んで歩いてゆくと、沼地の脇を通ることになった。
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そこにはトカゲや鳥などが何個かの籠に入れられていてそのそれぞれに名前が書いてあった。そしてその籠のまわりで家鴨や鶏が放し飼いになっていた。もしかしたらここはプチ動物園のようなものかもしれないな、と思いながらその真ん中を突っ切って歩いていると、腰ほどの高さを持つ水鳥の群がいた。色は白くなかったがもしかしたら白鳥なのかもしれない、とあたくしは思った。
あたくしが近づくとあろう事かその水鳥は逃げたり飛んだりすることなく、羽根を力一杯広げて威嚇の姿勢を取り、あたくしに近づいてきた。なに入ってきとんねん出ていけボケ、と言うことなのだろうと思う。何十年かぶりに鳥類に身体を張って怒られたあたくしはとりあえず水鳥さん達の邪魔にならないように隅の方を歩いて田中良夫(仮名)様宅に戻った。
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