あたくしはすかさず、要するに、 、というのは美味いクレープを焼くことと同じなんですね、と言ってみる。先生は首を傾げて一瞬真顔になり、言葉を止めたのであたくしは、火加減とか、バナナを入れるタイミングとか、バターの量とか、それぞれに目配りを利かせていないと、美味しいクレープは焼けない、って事なんでしょ? と言った。
先生は、すぐに、あぅ゛〜、と言う声をあげ、あたくしの肩を叩き、お前はよくわかっている、とおっしゃいました。しかしその時のあたくしは自分が何を喋っているのかよくわかりませんでした。 パレード車と街宣車はじきに戻ってきて、第一試合が始まりましたが、あたくしはまだ毀れたままでした。第一試合でナコン遠征組の少年ボクサーが勝利すると、あたくしはこのままではいけない、と思いながらスタジアムの外に出てミニマートの店内に入りました。
そしてそこで缶入りの牛乳を買いました。二十バーツでした。何故そんなものを買っているのか買いながらも自分で自分がよくわかりませんでした。そして買ったあとにあたくしはそれが牛乳ではなく、練乳だと言うことに気づきました。
とにかく自分でもわけが分からないまま店を出ると、店脇に停めていた街宣車を写真に収めなければ、という気持ちがあたくしの中に生じました。そして、街宣車に向かって歩く途中、ひとりの少女と目が合いました。
彼女はあたくしが街宣車に向かってカメラを構えるとその前に立とうとします。せっかくなので、写真に入ってくれる? と聞くと、彼女はいきなり服を脱ぎ、裸体をカメラの前に曝しました。
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