藝道日記。(平成 12/10/28)
平成十二年十月二十八日(土)。

   
 寝ていると五時頃起こされて、六時にはソンテウが迎えに来た。ナコン遠征組が帰り支度をして集まったが、何故か先生の姿が見えない。来たときと同じようにどうやら先生は別行動らしい。全員がソンテウに乗って港へ向かう。おおすみの出港時刻は朝八時だった。
 
  

本当に、おおすみ、なのだ。
あたくしは嘘などつかない。

   
おおすみの御手洗所と
田中良夫(仮名)様。
 
  
ビーチに出ることなく、
島をあとにしてしまった。

   
 あたくしはおおすみの船内に先生の姿を探す。しかしどこにも先生の姿は見えない。徹底的に別行動らしかった。船の上で遊んでいたらすぐに時間が経過し、おおすみは九時過ぎにスラタニの港に着いた。しばらくすると会長がトラックの荷台に乗るよう指示する。どうやらチャーターしたらしい。いわれたとおり全員、トラックの荷台に乗り込む。ソンテウではない、座席も何もないただの荷台だった。座っていると腰は痛いが風が涼しくて気持ちがいい。
 
  
 十二時頃ナコンに戻り、会長、田中良夫(仮名)選手と三人で食事に行く。黙々と食っていたら当然のように毀れてしまい、あたくしは野菜皿の中の生野菜を全部食ってしまう。野菜皿は上にぎり四人前くらいの大きさで、結構な量である。何故か南部の食堂ではこの大皿に乗った生野菜がテーブルに乗せられている。それを目にする度、あたくしはその大皿に喧嘩を売られているような気分になるのだ。

   
 昨日から船代、その他の運賃を全部会長に出して貰っていたので、食事代は全部あたくしが払う。

 部屋に戻って洗濯していると、突然豪雨。仕方なく外に干していた洗濯物を部屋の中に干し、パソコンを開いてページを製作する。仕事が一段落し、雨が小降りになったので接続しに行くがカフェは休み。データ送れず。

 別にデータが送れないのなら何もする必要はないのだが、ここ何日かずっと真面目に仕事していたのでついついページの製作とメール書き。腹が減ったので散歩に出て、ひとりで鶏カレーを食い。雑貨屋でヤムヤムキーマオ即席麺、マジックインキを買う。
 

  
 戻ると田中良夫(仮名)選手は会長がビーチで調達してきてくれた某オヤジ系日本語週刊誌を読んでいた。なんとなくそんな日本語情報源はこの部屋にあってはいけないような気がしたので、明日、移動の車中で読もうと思い、強奪する。

 とりあえず試合も終わったので弾けます、と田中良夫(仮名)選手は宣言し、弾けるためのアイテムを買いに行くと言い始めた。黙って着いていくと田中良夫(仮名)選手はコンビニに入りインスタント珈琲と豚甘味腸詰クンチェンのパックを買う。

 なんかこれを囓りながら珈琲飲むのが試合後の贅沢なんです、と田中良夫(仮名)選手は言う。どうして普段は珈琲を飲まないかというと、飲むと胃が痛くなるかららしかった。
  



嫌い、というか間接的に迷惑被っている出版社の
雑誌なので、誌名にモザイクかけてみた。

   
 あたくしはとりあえず一緒に珈琲などを飲み、そしてその中に島で購入した練乳をガンガン入れた。脳味噌が溶けそうなほど甘い。しかしそれだけでは飽きたらず、あたくしは直接間に口を付けて練乳を啜った。歯が溶けそうなほど甘い。

 田中良夫(仮名)選手の調子に合わせて弾けているとなんとなく壁のダサい落書きが気になりはじめ、一筆書いておかなければならない気がしはじめた。あたくしは田中良夫(仮名)選手に無理矢理許可を取り、壁に思い切り大きく落書きした。

 雨がまた降り始めていた。明日、馬来国との国境へ向けて出発するというのに、あたくしのジーンズはまだ乾いていなかった。
 

ひとの部屋だと思って、
思いきりいかせて
いただきました。

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