藝道日記。(平成 12/10/29)
平成十二年十月二十九日(日)。

   
 朝方部屋を出て、ハードヤイ方面行きの普通列車に乗り込む。昼ちょっと過ぎには着くだろうとたかをくくっていたら、着いたのは夕方に近い午後だった。私は慌ててハードヤイ市内でローカルのバスを探して乗り込んだ。

 国境に着くと日は落ちかけていた。とりあえず歩いて馬来国に入国した。そしてクアラルンプールまでの交通手段を探すが、もうすべてが終わっていた。そういう時間だっだ。
 

  
 私はその当たりをウロウロしながら宿を探そうと試みた。しかし、宿らしいものはどこにも見あたらない、仕方がない、ここは国境の街なのだそういう場所なのだ。

 とりあえず私はクアラルンプールに住む日系企業駐在友人に電話する。どうやら今回はそちらまでいけそうにありません今国境を越えたのですが交通手段も宿もすべてのものが私に用意されていないのですこの国境では引き返すしかないのです私には、と言うような意味のメッセージを私は彼の留守電に入れる。
  


   
 そして再び国境を越えてタイ側に戻るが、タイ側でももうハードヤイ行きのバスはなかった。とりあえずこの国境の近くに一件だけホテルがあったので行ってみる。しかし宿泊料金はえらく高い。仕方なく私は、バイクタクシーでパダンバサーの街まで行く事にする。

 街はハードヤイと反対側に少し入ったところにあった。とりあえず私はバイクを農民銀行のATM前で停めて貰い、多少まとまった額のお金を引き出した。そして目的も定まらず歩いていると、前回四月に来たときに泊まった宿を発見したのでそこにチェックインした。
 

  
 荷物を部屋に置き、私はとりあえず両手を軽くして部屋を出た。そして屋台で買い物しまくった。

 まず買ったのが牛モツサラダ。ライムで味付けしてあり、唐辛子とパクチーが入ってて、ご飯の上に乗っかってるの。二十バーツ。

 そして魚卵カレー。魚の卵巣を玉葱と獅子唐で炒め、カレー粉で炒めてある。辛くない。一〇バーツ。
 

 


   
 さらにソーセージとイカ天串。ソーセージは普通のインダストリアルなちょっと甘めのヤツだったが、けっこう大きい。イカ天はピンクの衣を付けて揚げてある。二本で一〇バーツ。

 最後に唐揚げと餅米も買う。二十バーツ。唐揚げは赤い。この赤い香辛料が何か知りたい、と思う。低温と高温、ふたつの鍋で仕上がりよく揚げている。餅米にはナコン同様揚げ大蒜が付く。南部の唐揚げはとにかく美味い。

 どうしてこういった唐揚げの作り方などを詳しく見てたかというとお客さんが多くて待ってたから。人気の屋台らしい。
 

  
 で、これだけを持って部屋に戻り、一気に蹴り込んだ。総額六十バーツの豪華な夕食である。何故そんなことをするかというと、これでクアラルンプールまで行くつもりだったときの費用必要でなくなり、少し金銭的に余裕が出来たからである。

 そして私はさっきまで自分が埋もれていたこの街の夜の灯りを窓から見ながら、回教徒ばかりの、日本人どころか中国系馬来系以外の外国人などほとんどいないこの街で、暮らすのもいいなあ、と思い始めていた。


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