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05月02日 寓話 下 ウイリアム・フォークナー 岩波文庫 |
島に行って誕生日が終わり、泊めて貰っていた友人宅のソファーで読み終えた。非常に良かった。良かったとかわかったとか軽々しく言えないくらい凄く丁寧に作られた作品だった。例えば人間が生きていくに於いてひとつの衝撃的体験が戦争であるとするなら、フォークナーはそれを表現者として非常に巧く吸収し消化しているのだと思った。頭でも身体でもわかっていて作品を両方でコントロールすることはとても難しいのだ。 |
05月02日 ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編 村上春樹 新潮文庫 |
これも友人宅のソファーに寝転がって読み終えた。このソファーはまるで僕のために用意されたかのように寝心地がいい。で、この作品なのだが非常に嫌なのだけど読み進めてしまう。読みながら僕は主人公に共感しているのだ。やれやれ。 |
05月03日 人間の証明 森村誠一 角川文庫 |
村上春樹に比べると、とても簡潔だ森村誠一は。計算された投げっぱなしなど絶対にやったりしない。ちゃんとある種のスジを通してくれる。この作品は今までに読んだ森村誠一の作品の中で一番面白かった。基本的に長い作品の構成に対する姿勢は村上春樹と変わらないのだが、なんとなくこっちの方が誠意があるように思えた。 |
05月03日 徹子の部屋 4 黒柳徹子 テレビ朝日 |
島にいらっしゃる皆様のご厚意でダイビングの船に乗せていただきましたので、その船のハンモックに揺られながら読了いたしました。 |
05月05日 ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編 村上春樹 新潮文庫 |
とりあえず結論づけることにする。ミステリとしては凄い大失敗作。謎が全部解明されてない。もしかしたら全部の謎を解明する気などなく、村上春樹はただ刺激的な展開を優先して作品を作っているだけなのかもしれないと私は思った。つくりは周到なのだけれども、これ、世界中で農畜林水産業を日々営んでいる方々が読んだら、ワケわからないまま怒りだしてしまうのではないか、と思う。 |
05月12日 全訳 源氏物語 下巻 与謝野晶子訳 角川文庫 |
要するに歌を詠むのが巧いとモテるらしいです。光源氏も息子の薫もそりゃあもうおモテになります。ほとんど人でなしの振る舞いをしてお姉ちゃん達が世をはかなんで自殺しようとしたり、出家したりするほどおモテになるのです。しかし詩を詠むのが巧いだけでそんなにおモテになるのかと言えばけしてそうではなく、やはりそこにはいい服を着てるとかいい家の生まれたとか、いい地位にあるとかそういうことがあるみたいです。 |
05月14日 ヘッセ詩集 ヘッセ 新潮文庫 |
独りよがりです初期の詩は。ネットに何万編と転がっている主観的な詩と何ら変わりません。しかし、その独りよがりが三十年以上に渡って続けられるとそれはもうその主観を客観視して主観にして見せたり、技術的にぼかしたり出来るようになります。こんなに手を変え品を変え詩と小説の両面で独りよがりさを徹底して追求されるとさすがにその主観的に独りよがりで可哀想な立場を肯定したくさえなってきます。結論としてヘッセの詩集は読後の感覚が村上春樹に似ていることに気づきました。 |
05月15日 悪魔のいる天国 星新一 新潮文庫 |
どうやら私は長い間星新一に対してある種の偏見を抱いていたのだと言うことが判明いたしました。過去にちょっと読んだだけで私は星新一の作品をある種、子供が食べるたまごボーロみたいな物だと思っていたのです。いや実際基本的にはたまごボーロなのですが、どうやらこのたまごボーロの中には時折、山葵や唐辛子が入ってたりするようです。決めつけててごめんなさい。 |
05月16日 華麗なる割腹 南條範夫 光文社時代小説文庫 |
短編集。いきなりたくさん人が死にます。劇場版『伝説巨神イデオン』を思い出すほど立てつづけにそして大量に死んでゆきます。よく見てみると最初の短編の題は『一族自刃、八百七十名』となっています。わかりやすいです。 |
05月17日 取り替え子 チェンジリング 大江健三郎 新潮文庫 |
今回の健ちゃんはほどよいです。いつものようにぐねぐねと迂回する文体は変わらないのですがなんか程良く頭に入ります。これがある種のノンフィクション的作品となっていて、出てくる人の顔がイメージしやすいのが原因かなと思ったら、何だこれ三人称で書いてんじゃん健ちゃん珍しく。 |
05月18日 山椒太夫・高瀬舟 森鴎外 新潮文庫 |
鴎外ってすごいなあ。良くいろんなの書けるよなあ。偉いなあ。と思いながら読み進めていったら『二人の友』と言う短編になった。近代流麗な日本語で書かれているのだがその内容を読んで百年前のドイツ語学習者は現在の泰語学習者である私よりはるかに頑張っているのだなあ、と思った。 |
05月19日 剣客商売 陽炎の男 池波正太郎 新潮文庫 |
シリーズ第三作らしい。たいていこういったシリーズ物を読むと頭に入らないのだが何故か今回は頭に入ったのであららこれはきっと池波正太郎の文章がいいのだなと思ったのですがよくよく考えてみたら今月は江戸時代のお話読むの三冊目じゃんそりゃあどうして頭に入るよなあいくらアルツでもと言う結論に達したからとりあえずもう一冊今月中に江戸のヤツよんどこうかなと思わせるくらいいい作品だった。しかしそう色っぽいシーンが強調されているわけでもないのに出てくる女全員に妙な色気があるのは何故だ? |
05月23日 知と愛 H・ヘッセ 角川文庫 |
ゴルトムントが何故もてるか? と言うことには一切言及していないが、とにかくゴルトムントは放浪しながらやりまくり。まるで本宮ひろ志著『俺の空』安田一平のような後腐れない都合のいい展開が次々と表出する。姉妹どんぶり未遂や人妻姦通などを経て、いったん芸術家として彫刻にハマりいい仕事はするものの、やはり漂泊の思い止まず再び出てったところを女の謀略にはまり捕まって大ボスと対決、と言う展開。 |
05月26日 夜間飛行殺人事件 西村京太郎 光文社文庫 |
十津川警部結婚です。新婚旅行に出かけます。奥さんキュートです。なんかいいなあこの奥さん、って思ってたら奥さんじきにいなくなります。そして事件は急展開、素晴らしくスケールが大きくなり、大がかりになってゆきます。西村京太郎というのはこんなに大がかりだったりするのかとあらためて思うほどです。 |
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